不正競争防止法
不正競争防止法は
「他人の技術開発、商品開発等の成果を冒用する行為等の禁止」するものです。
「冒用」とは「名義の権利者の同意を得ないで、その名称等を使用すること」です。
ここでは特に営業秘密、限定提供データについて説明します。
- 営業秘密
- 2条1項4号から9号で規定され以下を満たすものを営業秘密とする。
- 秘密管理性
- パスワード等でアクセス制限がされている
- 有用性
- 非公知性
- 部外秘、極秘である旨が明示されている。
- 秘密管理性
- 不正取得、第3社への開示、利用行為を禁止
- 著作権、特許権によって保護されない場合も、これで保護されることがある。
- 具体例
- 顧客名簿
- 仕入れ先リスト
- 財務データ
- 製造技術
- 実験データ
- 研究レポート
- ※ これらが全て営業秘密になるわけではなく、営業機密を認めらえる3原則を満たしている場合において営業秘密として保護される。
- 2条1項4号から9号で規定され以下を満たすものを営業秘密とする。
- 限定提供データ
- 2条7項で規定されており、以下を満たすものを限定提供データとする。
- 特定の者に提供する情報(限定提供性)
- 電磁的方法により管理されていること(電磁的管理性)
- 相当量蓄積されていること(相当蓄積性)
- 技術上または営業上の情報
- 具体例
- ビッグデータ等を元に商品として広く提供されているデータ
- 自動車の走行履歴がデータベースにより管理されることで価値が生じているもの等
- コンソーシアム内で共有去られるデータ
- 会費を支払うことで得られる技術仕様等
- ※ 秘密管理性がある場合は営業秘密としての保護を受けるため、限定提供データとしての保護はされない。
- ビッグデータ等を元に商品として広く提供されているデータ
- 2条7項で規定されており、以下を満たすものを限定提供データとする。
不正競争防止法とAIの関係性
基本的な考え方としては、
「個人情報保護法、著作権法、特許法で保護できなかったが、それなりに有益な情報をどのように保護するか」という観点になります。
AIのモデルやデータ自体は著作権法、特許法での保護は難しく、本法を利用して保護していくこととなります。
よって、「営業秘密であること」、「限定提供データであること」を事前に明言することが重要となってきます。
ここでも保護できないものを「契約で保護する」という優先度と認識しておけば良いでしょう。
不正競争防止法違反
これも民事上の措置、刑事上の措置に分かれますが、
民事上の措置については恒例の差し止め&賠償になります。
刑事上の措置は営業機密とそれ以外に分かれます。
- 民事上の措置
- 利用したサービス、商品の差し止めや損害賠償対象になる
- 刑事上の措置
- 営業秘密
- 21条1項、3項で規定
- 10年以下の懲役または2000万円以下の罰金
- それ以外
- 21条2項
- 5年以下の懲役または500万円以下の罰金
- 営業秘密
営業秘密に対する違反が比較的重いため、
可能な限り営業秘密に寄せたいというのが、情報を守る側の思考となります。
まとめ
- AIに関連する法として以下がある。
個人情報保護法、著作権法、特許法、不正競争防止法。 - 基本的な考え方は著作権法、特許法で保護できなかったものは不正競争防止法で保護。
これもで保護できないなら契約で保護。 - 不正競争防止法で保護する際は営業秘密側で保護したい。
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