MATLAB,Python,Scilab,Julia比較 第5章 その72【複素フーリエ級数④】

MATLAB,Python,Scilab,Julia比較 第5章 その72【複素フーリエ級数④】 数値計算
MATLAB,Python,Scilab,Julia比較 第5章 その72【複素フーリエ級数④】

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はじめに

前回は、cos関数、sin関数を複素指数関数で表現したものをMATLABで検算してみた。
結果としては、異なるような結果に見える。
これの理由を今回は解説。

登場人物

博識フクロウのフクさん

指差しフクロウ

イラストACにて公開の「kino_k」さんのイラストを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=iKciwKA9&area=1

エンジニア歴8年の太郎くん

技術者太郎

イラストACにて公開の「しのみ」さんのイラストを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=uCKphAW2&area=1

【再掲】複素フーリエ級数に至る道

太郎くん
太郎くん

まずは複素フーリエ級数に至る道を再掲。

  • テイラー級数
  • マクローリン級数
  • 指数関数のマクローリン展開
  • cos(x)のマクローリン展開
  • sin(x)のマクローリン展開
  • オイラーの公式
  • 複素フーリエ級数
太郎くん
太郎くん

さらに、複素フーリエ級数を導出するステップも再掲。

  • オイラーの公式とそれの変形の式を元にcos関数、sin関数を複素指数関数で表現する。
  • 実数フーリエ級数のcos関数、sin関数に上記を代入する。
  • 代入した上で頑張って最適化する。
  • Σの下限を\(-\infty\)、上限を\(\infty\)にする。
フクさん
フクさん

前回、MATLABで検算した結果が、数式と異なるような感じになったので、
これについての解説になる。

【再掲】sin,cosを複素指数関数で表現する公式とMATLABが出力した式。

太郎くん
太郎くん

これが理屈上の数式。

\(
\begin{eqnarray}
\begin{bmatrix}
\cos(x)\\
\sin(x)
\end{bmatrix}&=&
\begin{bmatrix}
\displaystyle\frac{1}{2}&\displaystyle\frac{1}{2}\\
\displaystyle\frac{1}{2i}&\displaystyle – \frac{1}{2i}
\end{bmatrix}
\begin{bmatrix}
e^{ix}\\e^{-ix}
\end{bmatrix}\\
\end{eqnarray}
\)

太郎くん
太郎くん

こっちがMATLABが出力した数式。

\(
\begin{eqnarray}
\begin{bmatrix}
1&i\\
1&-i
\end{bmatrix}^{-1}=
\begin{bmatrix}
0.5&0.5\\
-0.5i&0.5i
\end{bmatrix}=
\begin{bmatrix}
\displaystyle\frac{1}{2}&\displaystyle\frac{1}{2}\\
\displaystyle-\frac{1}{2}i&\displaystyle\frac{1}{2}i
\end{bmatrix}
\end{eqnarray}
\)

太郎くん
太郎くん

というわけで一致しないんだよなぁ・・・。

虚数で割ることと負の虚数を掛けること。

フクさん
フクさん

結論としては、
これらの式は同一だ。

太郎くん
太郎くん

どこが同一なんだよ!

フクさん
フクさん

これは虚数で割ることと、負の虚数が掛けることが同一であるために発生している事象だ。

太郎くん
太郎くん

虚数で割ることと、負の虚数が掛けることが同一?
なんで?

虚数で割ることと負の虚数を掛けることが同一であることの証明

フクさん
フクさん

これの証明は簡単だ。

\(
\displaystyle\frac{1}{i}=\frac{1\times i}{i\times i}=\frac{1i}{-1}=-1i
\)

太郎くん
太郎くん

あ、ホントだ!

フクさん
フクさん

これを加味してMATLABが出力したものを変形する。

\(
\begin{eqnarray}
\begin{bmatrix}
1&i\\
1&-i
\end{bmatrix}^{-1}=
\begin{bmatrix}
0.5&0.5\\
-0.5i&0.5i
\end{bmatrix}=
\begin{bmatrix}
\displaystyle\frac{1}{2}&\displaystyle\frac{1}{2}\\
\displaystyle-\frac{1}{2}i&\displaystyle\frac{1}{2}i
\end{bmatrix}=
\begin{bmatrix}
\displaystyle\frac{1}{2}&\displaystyle\frac{1}{2}\\
\displaystyle\frac{1}{2i}&-\displaystyle\frac{1}{2i}
\end{bmatrix}
\end{eqnarray}
\)

太郎くん
太郎くん

なるほど。
確かに一致した。

フクさん
フクさん

「虚数で割ることと負の虚数を掛けることが同一」は
複素フーリエ級数を導出するときにも使用するから覚えておいた方が良いだろう。

まとめ

フクさん
フクさん

まとめだよ。

  • 「虚数で割ることと負の虚数を掛けることが同一」である。
  • 上記を証明。
  • これは、複素フーリエ級数を導出するときにも使用するから覚えておいた方が良い。

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