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はじめに
前回は、アダマール積について。
比較的特殊な演算なので、そういうものがあるという程度で留めておいてもよいかも。
今回は除算について。
登場人物
博識フクロウのフクさん
イラストACにて公開の「kino_k」さんのイラストを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=iKciwKA9&area=1
エンジニア歴8年の太郎くん
イラストACにて公開の「しのみ」さんのイラストを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=uCKphAW2&area=1
行列の除算
まず、行列は原則的には除算は存在しない。
まさかの一言での終了!
まぁ除算は存在しないが、除算相当は存在する。
あ、以前出来てきた「逆行列を掛ける」ってやつか。
そうそう。
さらに行列はスカラーの演算とことなり、
積の結合法則はあれど、交換法則はない。
結合法則?交換法則?
この感じ。
結合法則
\(
(AB)C=A(BC)
\)
交換法則(行列に於いて、こっちは成立しない)
\(
AB=BA
\)
あー、行列の位置を勝手に入れ替えちゃだめってことか。
正解。
左除算、右除算
そして、交換法則が無いが故に、
左除算、右除算という概念が出てくる。
もう具体的にどういう演算なのか見せてもらった方が良い気がする。
そうだな。
それほど難しい話でもないから見てもらった方が早いな。
左除算
\(
A\backslash B=
A^{-1}B=
\begin{bmatrix}
1 & 2 \\
3 & 4
\end{bmatrix}^{-1}
\begin{bmatrix}
5 & 6 \\
7 & 8
\end{bmatrix}=
\displaystyle
\frac{1}{1\times4-2\times3}
\begin{bmatrix}
4 & -2 \\
-3 & 1
\end{bmatrix}
\begin{bmatrix}
5 & 6 \\
7 & 8
\end{bmatrix}
\)
\(
=\begin{bmatrix}
-3 & -4 \\
4 & 5
\end{bmatrix}
\)
右除算
\(
A/B=
AB^{-1}=
\begin{bmatrix}
1 & 2 \\
3 & 4
\end{bmatrix}
\begin{bmatrix}
5 & 6 \\
7 & 8
\end{bmatrix}^{-1}=
\begin{bmatrix}
1 & 2 \\
3 & 4
\end{bmatrix}
\displaystyle
\frac{1}{5\times8-6\times7}
\begin{bmatrix}
8 & -6 \\
-7 & 5
\end{bmatrix}
\)
\(=
\begin{bmatrix}
3 & -2 \\
2 & -1
\end{bmatrix}
\)
逆行列をどちらに置くかで左除算、右除算が変わるってことか。
まぁ実際には除算で表現せずに逆行列で表現することの方が多いから、
この表現も少数派にはなるけどねー。
じゃー、なぜこんな説明を追加したのか・・・。
各ツール、言語で左除算、右除算の記述をサポートしていることが多いんでね。
少なくともMATLABはサポートしてる。
なるほど。
これを知っておくと、各ツール、言語の便利機能が使えるってことか。
そういうことなら納得だ。
まとめ
まとめだよ。
- 行列の除算について。
- 行列は原則的に除算は存在しないが、「逆行列を掛ける」がそれに該当する。
- さらに行列の積は結合法則はあれど、交換法則はない。
- 上記に伴い、左除算、右除算と言う概念が出てくる。
- 逆行列の位置が変わる。
- 数式上ではあまり出て来ないが、各ツール、言語がサポートしていることが多い。
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