【ASAM】最小構成のMBD事例 第2章 その278【MDF⑦】

【ASAM】最小構成のMBD事例 第2章 その278【MDF⑦】 事例
【ASAM】最小構成のMBD事例 第2章 その278【MDF⑦】

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はじめに

前回は「MDF仕様単体以外の有用性」としてASAM ODSとの連携の話をした。
ASAM OSDはテスト自動化にあたり、表現の曖昧性に課題とした仕様で、ざっくり言うと「テスト管理のパラメータの標準化」。
ASAM OSDの中のMEASURMENTS領域とDIMENSION&UNIT領域がMDFと関係する。

しかし、MDFとODSでは育ってきた文化の違いから完全な互換性を持っているわけでは無い。
そこらへんの裏話をしていく。

登場人物

博識フクロウのフクさん

指差しフクロウ

イラストACにて公開の「kino_k」さんのイラストを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=iKciwKA9&area=1

エンジニア歴8年の太郎くん

技術者太郎

イラストACにて公開の「しのみ」さんのイラストを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=uCKphAW2&area=1

ASAM OSDが育ってきた文化

太郎くん
太郎くん

前回の話だと
「MDFとODS自体は全く異なる文化で育ってきた仕様」
だから簡単には連携できなそうな話が出てきてたけど、ここらへんの話をよろしくー。

フクさん
フクさん

まず「ASAM OSDが育ってきた文化」について話してみよう。

フクさん
フクさん

前回も言ったようにASAM OSDは「テスト自動化にあたり、表現の曖昧性に課題とした仕様」。
このテストは車両のNVH評価を対象としたものだ。

太郎くん
太郎くん

NVH?

フクさん
フクさん

Noise、Vibration、Harshnessの頭文字だね。
Noise=騒音
Vibration=振動
Harshness=ハーシュネス(荒れた状態の路面や継ぎ目を乗り越えた際の振動や衝撃音)

太郎くん
太郎くん

いわゆる静粛性評価ってやつかな?

フクさん
フクさん

そうだね。
静粛性評価は全体が組みあがった際に初めて評価できるんで、
単体レベルの評価ではほぼ評価できないんだよね。
まぁエンジンの騒音とかは単体である程度見ているとは思うけど。

太郎くん
太郎くん

でも騒音、振動を計測するだろうから、MDFとか使いそうだけど?

フクさん
フクさん

それが、あんまりMDFは使ってはいないようだね。
使用する計測器自体は騒音、振動に特化したもので、
それらのベンダーはMDFをあまり使ってなかった
生データは取れるので、それらをデータベースで管理して必要な時に取り出してフーリエ変換等の演算をして解析する。
って流れだと思う。
ベンダーも設備系になって、MDFの存在は知ってはいるだろうが、それを積極的に利用するところではないのだろう。

太郎くん
太郎くん

確かに騒音、振動の計測器は特殊な印象あるねー。

ASAM MDFが育ってきた文化

フクさん
フクさん

次にASAM MDFが育ってきた文化。

フクさん
フクさん

これはECUの検証がメインのところだね。
ECUの計測&キャリブレーションの領域だ。

太郎くん
太郎くん

こっちの方がまだ馴染みが深いかな。

フクさん
フクさん

この領域は昔からMDFを使ってきたベンダーがほとんどだ。
Vector社、ETAS社が代表的。

太郎くん
太郎くん

つまるところ、仕様が育ってきた文化というかベンダー依存

フクさん
フクさん

端的に言うとそういうことになるね。

太郎くん
太郎くん

なんか標準仕様と言う割にはあまり足並みがそろってない印象が強いな。

フクさん
フクさん

まぁ最初から標準仕様を狙っていたというより、
部分最適の結果としての標準仕様だからね。
主要ベンダーが
「我々が使ってるんで、みんなもこっちに合わせて使ってね」
と言ってる程度だ。
ASAM仕様が緩い標準化と言われる所以だな。

ASAM仕様の認識のギャップ

太郎くん
太郎くん

「緩い標準化」かー。
日本人的には違和感ありまくりだなー。

フクさん
フクさん

そうだろうね。
日本人がイメージする標準化って
ISOとかJISとかの規格のイメージが強く
「絶対に順守!」
なんだけど、
ASAMに代表される欧州の標準化は
「これに合わせると比較的楽に統合できるから可能なら合わせてね」
って感じなんで、このギャップを認識できていないと、
「ASAM仕様に準拠すべき!」
みたいない良く分からない標準化推進がなされることになる。

太郎くん
太郎くん

「ASAM仕様に準拠すべき!」
は別に問題無いような気がするけど?

フクさん
フクさん

明確に目的があって準拠する分には良いのだけど、
無条件に準拠すべきだと、あまり効果はないというか、効果が認識できないんじゃないかなー。
各ベンダーもASAM仕様に合わせてはいるものの他の計測器で取ったデータを問題無く扱えるを保証してるわけじゃないもんね。
日本人の感覚だと保証されてるものを思っちゃうから後で揉めやすいかな。

太郎くん
太郎くん

それは確かにヤバそうだ!

フクさん
フクさん

「おおよその作りは問題無いから、システム同士を統合する際にチョイ修正でできるよ。」
くらいの認識が妥当だろう。

まとめ

フクさん
フクさん

まとめだよ。

  • ASAM OSDが育ってきた文化について説明。
    • 車両のNVH(Noise、Vibration、Harshness)評価を想定したもの。
    • ベンダー的にはあまりMDFは使用しない。
  • ASAM MDFが育ってきた文化について説明。
    • ベンダーが積極的にMDF利用。
  • 標準化の認識が日本人的には強烈なギャップあり。

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