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はじめに
車両診断通信のネットワーク層の話。
各種タイムアウトの具体的な数値について。
登場人物
博識フクロウのフクさん
イラストACにて公開の「kino_k」さんのイラストを使用しています。
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エンジニア歴8年の太郎くん
イラストACにて公開の「しのみ」さんのイラストを使用しています。
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タイムアウトパラメータの具体的な数値
前回、ISO-TPの各種タイムアウトパラメータの話だったけど、
具体的な数値は出てこなかったね。
どんな感じになるの?
まぁ規格で定義されている数値はあるけど、
大きく2パターンある。
あ、もしかしてUDSとOBD?
そのとおり。
基本的な考え方は一緒なんだけど、具体的な数値は大きく違うね。
ま、一個ずつ書き出してみよう。
ISO15765-2(UDS側)のタイムアウトパラメータの具体的な数値
まずはISO15765-2(UDS側)
タイムアウトパラメータの具体的な数値を表で書くと以下。
一応、前回のマルチフレーム送信時のタイムアウトパラメ―タの図も併記しておく。
パラメータ名 | Timeout[ms] |
---|---|
N_As | 1000 |
N_Ar | 1000 |
N_Bs | 1000 |
N_Br | (N_Br+N_Ar) < (N_Bs×0.9) |
N_Cs | (N_Cs+N_As) < (N_Cr×0.9) |
N_Cr | 1000 |
1秒?
なんか割とゆったり気味なタイムアウト値だね。
あと、
N_BrとN_Csはなんか変な表記になってる。
N_BrとN_Csは厳密にはタイムアウトパラメータというよりも
パフォーマンス要求だからね。
N_Brの場合だと、
「N_Bsの90%くらいの時間でFC送信完了せよ。」
ってことになるね。
まぁ1秒の90%だと900[ms]だからそんなに厳しい要求でもないけど。
まぁ具体的にタイムアウト評価するというよりも、「パフォーマンスを満たせ」ってことであればしっくりくるかな。
ISO15765-4(OBD側)のタイムアウトパラメータの具体的な数値
次はISO15765-4(OBD側)
タイムアウトパラメータの具体的な数値を表で書くと以下。
こっちも、前回のマルチフレーム送信時のタイムアウトパラメ―タの図も併記しておく。
パラメータ名 | Timeout[ms] |
---|---|
N_As | 25 |
N_Ar | 25 |
N_Bs | 75 |
N_Br | (N_Br+N_Ar) < 25 |
N_Cs | (N_Cs+N_As) < 50 |
N_Cr | 150 |
げ!
こっちはむちゃくちゃ短いじゃん。
そうだね。
でも、まぁCANの応答性からするとそんなにシビアな値でもないよ。
そーなの?
でも、なんでUDSは1秒くらいだったのにOBDはこんなに短い時間になってるの?
理由はわからないけど、
排ガス検査時の車両パラメータの取得レートをある程度高くすることが動機かもね。
あーエンジン回転数とか、車速のデータ更新が1秒以上だと
評価できなそうだもんね。
あとは、
エミッション系ECUことパワートレイン系は
比較的高スペックなマイコンを使うことが多いんで、
応答性要求を厳しくしてもなんとかなるってのもあるね。
UDSの方はボディ系とかの低スペックマイコンで動作しているECUもターゲットに含まれるんで、
応答性要求を極端に落としている。
って考え方もある。
うーん、いろんな状況があり得るから仕様のバリエーションも増えるってことだね。
まとめ
まとめだよ。
- ISO15765-2(UDS)とISO15765-4(OBD)でタイムアウトパラメータの数値は異なる。
- UDS側が緩く、OBD側が厳しめ。
- タイムアウトパラメータの中にはパフォーマンス要求として設定されているものもある。
- N_Br、N_Cs。
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