【仕様書】最小構成のモデルベース開発事例 その7【離散化中編】

【仕様書】最小構成のモデルベース開発事例 その7【離散化中編】 事例

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はじめに

前回、離散化の初歩として総和法、差分法を学び、原理としてテイラー展開を学んだ。
今回は離散化の基礎を押さえに行く。

登場人物

博識フクロウのフクさん

イラストACにて公開の「kino_k」さんのイラストを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=iKciwKA9&area=1

エンジニア歴8年の太郎くん

イラストACにて公開の「しのみ」さんのイラストを使用しています。
https://www.ac-illust.com/main/profile.php?id=uCKphAW2&area=1

総和法の証明

フクさん
フクさん

では、

総和法をテイラー展開で証明してみよう。

太郎くん
太郎くん

うん。

フクさん
フクさん

テイラー展開の先頭から2項のみを使用する。
残りは切り捨て誤差扱いとする。
$$f(t)=f(t_0+Δt)≒f(t_0)+f(t_0)\frac{d}{dt}Δt$$

太郎くん
太郎くん

2項だけで良いの?

フクさん
フクさん

まぁ総和法の精度がこの程度なんだよ。
逆に言うと、第3項以降が総和法に於いての誤差ってことになる。

太郎くん
太郎くん

なるほど。

フクさん
フクさん

全体を積分する。
$$\int f(t) dt = \int f(t_0+Δt)dt = \int f(t_0)+f(t_0)Δt$$
\(f(t_0)Δt\)として解く。
$$f(t_0)Δt=\int f(t_0+Δt)dt – \int f(t_0)$$

フクさん
フクさん

この式を絵で描くとこんな感じ

総和法の証明、∫f(t_0+Δt)dt、∫f(t_0)dt、f(t_0)Δt、Δt、t_0、t_0+Δt
フクさん
フクさん

そして、解いた式の
$$\int f(t_0+Δt)dt – \int f(t_0)$$
って、定積分の公式そのものだったりする。

太郎くん
太郎くん

なるほど。
\(f(t_0)Δt\)は\(Δt\)の区間の定積分と近似ってことになるのか。

フクさん
フクさん

次は差分法かな。

差分法の証明

フクさん
フクさん

こちらもテイラー展開の先頭から2項のみを使用する。
残りは切り捨て誤差扱いとする。
$$f(t)=f(t_0+Δt)≒f(t_0)+f(t_0)\frac{d}{dt}Δt$$

太郎くん
太郎くん

総和法と同じく、第3項以降が差分法に於いての誤差だね。

フクさん
フクさん

\(f(t_0)\displaystyle \frac{d}{dt}\)に対して解く。
$$f(t_0+Δt)=f(t_0)+f(t_0)\frac{d}{dt}Δt$$
$$f(t_0)\frac{d}{dt}Δt=f(t_0+Δt)-f(t_0)$$
$$f(t_0)\frac{d}{dt}=\frac{f(t_0+Δt)-f(t_0)}{Δt}$$
絵に描くとこんな感じ。

差分法の証明、f(t_0+Δt)、f(t_0)、Δt、t_0、t_0+Δt
太郎くん
太郎くん

あれ?

これって微分を習ったときに見たような?

フクさん
フクさん

うん。差分方程式だね。
\(Δt→0\)にすると導関数となって、微分の定義になる。

太郎くん
太郎くん

おー!
なんか、頭の中で個別に有ったものが繋がったような感覚を覚えたよ!

フクさん
フクさん

と言う感じで、

それほど難しくはなかったでしょ?

太郎くん
太郎くん

うん。

モデル精度を上げるには?

太郎くん
太郎くん

総和法、差分法がテイラー展開の2項までしか使ってなかったわけだけど、
3項まで使うと精度が上がるってイメージ?

フクさん
フクさん

その認識で合ってるよ。
仕様でも、3項相当の式で誤差を小さくする仕様にしておいて、
実際は係数を0にすることで2項までしか使っていないってことも多い。

太郎くん
太郎くん

確かに見たことあるかも。
0掛けてるから、この項って要らないんじゃん?
って思ってたけど、

精度を引き上げる可能性を考えて入れていたってことだね。

フクさん
フクさん

たぶん。
まぁ、そうそうそこまでの精度は求められないから、

使われないことは多いけど。

太郎くん
太郎くん

ここまで来ると、3項のパターンも見たいなぁ(チラ)

フクさん
フクさん

じゃー次回ね。
(最初のころはあんなに食わず嫌いだったのに。。。)

まとめ

フクさん
フクさん

まとめだよ。

  • 総和法、差分法はテイラー展開の第2項までを使用した式がベースになっている。
    • よって、第3項以降が誤差となる
  • 使用する項数を増やせば制度は上がる方向になる。
  • 仕様上は3項までを想定、運用では2項までということが良くある。

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