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はじめに
の、
MATLAB,Python,Scilab,Julia比較 第5章 その11【複雑な定積分①】
を書き直したもの。
フーリエ係数に至る道。
今回は偶関数と奇関数を利用した数学パズル。
【再掲】フーリエ係数に至る道
まずは、フーリエ係数に至る道を再掲。
- 偶関数
- 奇関数
- 関数の内積
- 三角関数の加法定理
- 三角関数の積和公式
- 重要な極限値
- 三角関数の直交性
- フーリエ係数
今回は偶関数と奇関数を利用した数学パズル。
数学パズル?
数学パズルとは何ぞや?
と思っただろう。
以下の数式を解く話になる。
\(
\displaystyle\int_{-2}^2\Big(x^3\cos(2x)+\frac{1}{2}\Big)\sqrt{4-x^2}dx
\)
一見すると複雑で解けそうもない。
しかし、偶関数と奇関数の特性を利用すると一撃で解ける。
大雑把な解き方
細かい数式を書いていくとアレルギーが出るかもしれないので、
まずは大雑把に雰囲気で解いてみる。
まず、\(x^3\)と\(\cos(2x)\)に着目する。
\(x^3\)は奇関数。
\(\cos(2x)\)は偶関数。
つまり、\(x^3\cos(2x)\)は奇関数になる。
前回の話を加味するとわかると思う。
このまま奇関数で、2から-2の積分を考えるとどうなるか?
奇関数で原点から同じ幅の定積分だから0になる。
しかし、\(\sqrt{4-x^2}\)が掛かるため、結果的に奇関数になるかはわからない。
もし、\(\sqrt{4-x^2}\)が偶関数なら奇関数になって消えてくれて助かるという感じになる。
結果から言うと、\(\sqrt{4-x^2}\)は半円の方程式と言うもので、偶関数になる。
これは、三平方の定理から求められる方程式。
\(
\begin{eqnarray}
r^2&=&x^2+y^2\\
y&=&\sqrt{r^2-x^2}\\
y&=&\sqrt{4-x^2}=\sqrt{2^2-x^2}\\
\end{eqnarray}
\)
つまり、原点を中心とした半径2の半円を描く関数と言うことになる。
半円は線対称。つまり、偶関数になる。
(ここらへんの細かい話は後日説明)。
よって、\(x^3\cos(2x)\sqrt{4-x^2}\)は奇関数だから0になる。
そうすると、残りはこれになる。
\(
\displaystyle\int_{-2}^2 \frac{1}{2}\sqrt{4-x^2}
\)
\(\sqrt{4-x^2}\)は偶関数。
つまり、-2から2の定積分は、0から2の定積分を2倍にしたものになる。
\(
\displaystyle\int_0^2 2 \frac{1}{2}\sqrt{4-x^2}=\int_0^2 \sqrt{4-x^2}
\)
というわけで、\(\displaystyle\frac{1}{2}\)も消えた。
0から2の範囲の\(\sqrt{4-x^2}\)は半径2の円の四分円。
つまり、半径2の円の面積を4分の1にすればOK。
\(
\displaystyle\frac{\pi r^2}{4}
\)
\(r^2=4\)。
よって、
\(
\displaystyle\frac{\pi 4}{4}=\pi
\)
4も消えて\(\pi\)だけが残り、
これが、最初の定積分の解となる。
というわけで、偶関数、奇関数の特性を利用して解くことが可能な定積分も存在する。
今回は雰囲気重視で解いたが、
次回はこれをもう少しまじめに解こう。
まとめ
- 偶関数、奇関数を駆使する数学パズルを実施。
- 細かいことは置いておいて、雰囲気のみでざっくり解説。
- 奇関数が確定すれば0にできる。
- 偶関数が確定すれば線対称を利用して積分範囲を半分にした上で2倍にすればOK。
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